ナバホ・チュロ羊について

草を食むナバホチュロ羊

草を食むナバホチュロ羊(写真提供:ロレイン・ハーダー)

ナバホチュロ羊は、15世紀スペインの探検隊がもたらした、アメリカ大陸初の家畜としての羊です。古代のイベリア半島で飼われていた「チュラ」を先祖とし、のちにアメリカ開拓民によって「チュロ」と名付けられました。厳しい気候条件に耐え、病気にも強いチュロは、スペイン征服者およびアメリカ開拓民の移植を支えました。17世紀になるとチュロは、南西部ネイティブ・アメリカンの生活に欠かせない存在となり、ナバホ族はじめプエブロ各部族は羊を飼い、羊肉を食料とし、羊毛で美しい織物を織り生計を立てました。ナバホチュロ羊の羊毛は阻めん毛に属し、表面を覆う長いステイプルと内側の柔らかい毛が特徴で、光沢のある滑らかな肌触りをしています。ナチュラルカラーが豊富で、耐久性が高く、織物の素材として長い間重宝させてきました。ヨーロッパから新大陸に移民が押し寄せると、メリノやロングウールなどの羊がもたらされ、純粋のチュロ羊は絶滅の危機を迎えました。 1970年代にナバホチュロ羊を復活させようという動きがアメリカ南西部で高まり、辺境のヒスパニックの村やナバホ・インディアン居留地に生息する在来種のチュロ羊の保護活動「ナバホ・シープ・プロジェクト」が始まります。やがてマクニール博士、コニー・テイラーなどアングロアメリカ人の助力を得て、1986年「ナバホ・チュロ羊協会」が設立され、ナバホ・チュロ羊の数は飛躍的に増加し、今では全米各地で飼育されるようになりました。 インディゴ・チュロでは、今もナバホ族の伝統的な暮らしを営んでいるブラック・メサに住むロレイン・ハーダーさんからナバホチュロの原毛、スライバーを仕入れています。ロレインさんは、昔ながらのやり方で、毎日広大なインディアンの大地を歩き、羊にセイジなどの草を十分に食べさせています。以前彼女はチャピターハウスで働く公務員で、地域のまとめ役をしていました。早くからナバホチュロ羊のブリーダーとして、ナバホチュロ羊の保護活動の中心的役割を担ってきました。ロレインさんは手紡ぎ、草木染め、ナバホ織を営むアーティストで、ナバホ国のいのちの水を守る活動に積極的に関わっています。  
 
 
フラッグスタッフ・ウール&ファイパー

フラッグスタッフ・ウール&ファイパーにて

 
ロレイン・ハーダーさん

ロレイン・ハーダーさん、ブラック・メサにて(写真提供:ロレイン・ハーダー)